物流業界は長時間労働や低賃金といった従来の課題に加え、2024年問題により、ドライバー不足が加速しています。この状況に多くの企業と求職者が先行きに不安を抱えています。
本記事では、ドライバー不足の5つの主な原因と「2024年問題」による物流業界への影響を詳しく解説します。さらに、労働環境の改善や業務効率化など、ドライバー不足を解消するための実践的な対策もご紹介。
記事を読めばこの危機をチャンスに変えるヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

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ドライバーが不足している原因

物流業界では深刻なドライバー不足が続いています。
なぜドライバーが不足しているのか、その主な原因として次の5つを解説します。
1.労働条件・環境が他の業種に劣る
トラックドライバーの労働条件は他の業種と比較して厳しい状況です。特に労働時間と賃金の面で全産業平均と大きな差があります。
全日本トラック協会の資料※によると、トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比較すると長いです。大型トラック運転者では432時間(月36時間)、中小型トラック運転者では384時間(月32時間)も差があります。
※全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」
また、長時間労働にもかかわらず、トラックドライバーの年間所得額は全産業平均より低い傾向があります。大型トラック運転者で約5%、中小型トラック運転者では約12%も低くなっています。
つまり、より長く働いているにもかかわらず、収入は少ないという状況です。
労働時間と賃金のアンバランスさが、新規就業者の減少や既存ドライバーの離職につながっています。ドライバー不足を解消するためには、全産業平均の労働時間、賃金水準に近づけることが必要不可欠です。
2.女性ドライバーが少ない
トラック運送業界では女性ドライバーの割合が極めて低く、これがドライバー不足の一因です。
運輸業・郵便業における女性労働者の割合は約16%で、全産業平均の約44%と比較すると大きく下回っています。特にトラックドライバーに限ると、女性の割合はさらに低く、約2.4%程度です。
近年では機械化の進展により荷役作業の負担が軽減されつつあり、女性でも十分に活躍できる環境が整いつつあります。しかし、業界全体としての女性ドライバー増加の取り組みはまだ十分とは言えない状況です。
3.宅配需要が増加している
物流業界では取扱荷物量が増加傾向にあり、特にEC(電子商取引)市場の拡大により宅配便の需要が急増中です。
国土交通省の統計※によると、宅配便の取扱個数は2010年度の約32億個から2022年度には約49億個まで増加しており、10年余りで約1.5倍に拡大しています。新型コロナウイルス感染症の流行を機に、さらに急速な伸びを見せています。
※国土交通省「令和3年 宅配便の取扱実績について」
こうした需要の増加に対し、ドライバーの数が追いついていないのが現状です。
4.運転免許制度の改正
運転免許制度の改正により、トラックドライバーになるためのハードルが上がっていることも、ドライバー不足の一因です。
平成19年(2007年)以前は、運転免許は主に「普通免許」と「大型免許」の区分でした。当時の普通免許では、現在の中型車両に相当する車両(最大積載量5トン未満、車両総重量8トン未満)まで運転することができました。
しかし現在は、準中型免許・中型免許の区分が設けられ、普通免許では最大積載量5トン未満、車両総重量8トン未満の中型車両は運転できなくなってしまいました。
このため、中型以上の車両を運転するドライバーになるには、追加で準中型免許や中型免許の取得が必要です。免許取得には時間とコストがかかるため、これが新規参入の障壁となっています。
特に物流企業の中小企業では、免許取得支援制度が十分に整っていないケースも多く、若手人材の確保が難しくなっています。
5.高齢化により今後もドライバー不足は加速する見込み
トラックドライバーの高齢化も深刻な問題であり、今後のドライバー不足をさらに加速させる要因です。
厚生労働省の統計※によると、道路貨物運送業の労働者の平均年齢は約47.4歳で、全産業平均の約43.4歳を上回っています。特に45歳以上の割合が全体の約55%を占めており、若手の参入が少ないことがわかります。
※厚生労働省「統計からみるトラック運転者の仕事」
このように、ドライバー不足にはさまざまな構造的な原因があり、単純な対策では解決が難しい状況です。業界全体で労働環境の改善や効率化の推進が求められます。
ドライバー不足の原因「2024年問題」による物流への影響
ドライバー不足の問題に追い打ちをかけているのが、いわゆる「2024年問題」です。
2024年4月1日に施行された働き方改革関連法により、これまで猶予されていた自動車運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。また、改正された改善基準告示によって、拘束時間や休息時間などにも新たな規制が設けられています。
主な変更点は以下の通りです。
- 時間外労働の上限規制:年間960時間(月平均80時間)の上限規制が適用
- 改正改善基準告示:拘束時間の上限短縮(例外的な延長時の上限が従来の16時間から原則15時間へ。長距離運送時のみ週2回16時間可)
- 休息時間の確保:継続8時間以上から継続9時間以上へ延長
- 連続運転時間の制限:4時間以内で休憩が必要
これらの規制は労働環境改善の観点からは必要なものですが、物流業界に大きな影響をもたらしています。具体的な影響について見ていきましょう。
物流コストの高騰・利益の減少
働き方改革関連法の施行により、物流業界では運送コストの上昇と利益の減少が顕著になっています。
時間外労働の制限により、一人のドライバーが担当できる輸送量が減少しています。これまで長時間労働で支えられていた物流業務を維持するには、より多くのドライバーが必要ですが、人材確保は困難です。
不足するドライバーを確保するための給与引き上げや福利厚生の充実など、人件費増加は避けられません。また、労働時間削減のための配車システム導入や荷役作業の機械化には設備投資が必要で、特に中小運送業者にとっては大きな負担です。
運送コストの上昇分を運賃に転嫁できないケースも多く、物流企業の利益率が低下しています。経営基盤が脆弱な中小運送業者では、倒産や事業縮小のリスクが高まっているのが現状です。
収入減少で更なるドライバー不足が加速
働き方改革関連法の施行は、皮肉にもドライバー不足をさらに悪化させる可能性があります。
時間外労働が制限されることで、残業代を含めたドライバーの収入減少が懸念されます。収入が減るにもかかわらず労働環境の改善が進まなければ、待遇に不満を持つドライバーの離職は増加する一方です。
物流業界のイメージ低下とも相まって、若手の参入がさらに難しくなります。ドライバーが減少すればするほど、残ったドライバーへの負担が増加し、さらなる離職を招く悪循環に陥ります。
荷主企業への影響も懸念
ドライバー不足と「2024年問題」の影響は荷主企業にも及んでいます。物流コストの上昇は運送料金への値上げとして転嫁され、短納期配送の制限や配送頻度の減少は大きな問題です。
また、ドライバー不足は配送の遅延を起こし、荷主企業の生産計画や在庫管理にも影響を与える懸念があります。
ドライバー不足を解消するための対策

深刻化するドライバー不足の問題に対して、物流業界や企業が取り組むべき対策は多岐にわたります。
ここではドライバー不足を解消するための主要な5つの対策について解説します。
ドライバー不足の解消と物流業界の持続可能な発展を目指すためには、どれか一つだけではなく、複数の対策を同時に実施することが重要です。
ドライバーの労働条件・環境を改善する
ドライバー不足解消の最も基本的な対策は、労働条件と環境の改善です。
全産業平均と比較して長時間労働かつ低賃金という現状を改善し、適正な労働時間と競争力のある賃金体系の確立が急がれます。
また、休日の増加や有給休暇取得の促進など、ワークライフバランスを重視した勤務体系の導入も効果的です。ほかにも荷待ち時間の削減や荷役作業の負担軽減など、日々の業務ストレスを減らす取り組みも求められます。
働きやすい職場づくりがドライバー確保の第一歩です。
女性も働きやすい環境を整える
女性ドライバーの割合が低い現状を改善することは、人材確保の大きな可能性を秘めています。
女性専用の更衣室やトイレの設置、プライバシーに配慮した休憩・仮眠施設の整備など、職場環境の改善が必要です。また、短時間勤務や日勤のみの勤務形態を導入すれば、育児や介護と両立できる柔軟な働き方が可能になります。
こうした取り組みにより、女性にとっても魅力ある職場を実現できます。
業務の効率化を進める
物流DXの推進により、ドライバーの業務効率化を図ることが重要です。AI配車システムの導入により最適なルート選定や積載効率の向上が可能になり、ドライバー一人当たりの生産性を高められます。
デジタル化による事務作業の簡素化や、QRコードを活用した荷物管理システムなど、IT技術の活用も効果的です。また、荷主企業と協力して集荷・配送時間の調整や、荷待ち時間の削減に取り組むことで、限られた労働時間内で生産性が高められます。
免許取得支援制度でドライバーを目指しやすくする
免許制度の改正により参入障壁が高くなったドライバー職ですが、企業による免許取得支援制度の導入で解決できます。
中型・大型免許や牽引免許などの取得費用を企業が負担することで、未経験者でもドライバーを目指しやすくなります。また、免許取得中の給与保証や教育訓練期間の設定など、経済的不安を軽減する取り組みも効果的です。
特に若年層の採用では、キャリアパスを明確に示し将来の成長機会を提示することで、物流業界への参入意欲が高まります。
高齢ドライバーの定年を延長する
経験豊富な高齢ドライバーの活用も有効な対策です。
定年を延長し、65歳以上でも働ける環境を整えることで、即戦力となる人材を確保できます。
高齢ドライバー向けに短時間勤務や隔日勤務など、負担の少ない勤務形態を用意することも重要です。また、経験を活かした教育係や配車管理など、運転以外の業務への配置転換も検討すべきです。
健康管理のサポートや安全運転技術の継続的な研修を通じて、高齢ドライバーが安心して働ける環境づくりが求められます。
さまざまな原因でドライバーが不足している「今」が転職のチャンス!
深刻なドライバー不足の状況は、転職を考える方にとって絶好のチャンスです。多くの企業が人材確保のために労働条件の改善に取り組み、給与水準の引き上げや残業削減、福利厚生の充実など、働きやすい環境を整えています。
ドライバーは景気に左右されにくい安定した職業で、技術向上とともに収入アップも見込めます。特に大型免許や各種資格の取得により、より高収入が得られます。未経験からでも始められ、多くの企業が免許取得支援制度を設けています。
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